あらゆる「知」への入門書【この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう 池上彰教授の東工大講義 世界篇

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 やっぱり読みやすい!

 本当に、あらゆ知識を吸収するための教科書のような本だ。

 数学で例えるなら「これでわかる」か「白チャート」くらいの、本当に専門的な教養を得るために、最低限知っておかなければならない。良書です。

 

 すでに様々なことをわかりやすく書かれているこの本を解説、なんてとても出来ないから、池上さんの言葉で、是非とも拡散したいと思った言葉を抜粋しようと思う。

「物事を批判的に受け止めること。これが大切なのです。いま池上が話している事も、そもそも批判的に受け止め、自分なりに考えてみる習慣を身につけてください」

 僕が書評ブログを書くのも、自分で考える力をもっともっと身につけたいし、同じくそういった方と情報や人生の価値観の共有がしたいから。その為には、このグローバル社会で、正しい知識を得ようとする意志がどれだけ大切かを、池上さんは語っている。

 最初、数学の問題集で例えたが、本当にこのくらいわかりやすく覚えておかなければならない本を読まずに社会情勢を語るのは、それこそ教科書レベルの数学や理科の内容も理解できないのに東工大の問題を解こうとするのに等しい。そんなザマでは二次試験どころかセンターで足切りされてしまうだろう。まあ過去の自分のことなんだけど笑(志望校別の大学だったが)

 この本のような内容のものは、記事のタイトルにも書いたが、誇張抜きであらゆる知識の入門と言っても良い。何故なら、本当に考えて生きることがどれだけ大事か、ということを教えてくれるからだ。悪い会社、優れた経営者の見分け方。年金の話。日本国憲法の改正。内容一つ一つとっても、多くの人に関わってくる。というか、この本に書かれてあることに全くかすりもしない人生を送っている人なんて、日本にいないだろう。そして、本書は最低限覚えておかなければならない知識と、「何故そうなっているのか」という問いを兼ね、読者の思考を巡らせる内容で筆が進んでいく。聞くは一時の恥知らぬは一生の恥というが、このあらゆる情報が錯綜している世の中ではもはや聞くことは一時の恥ですらない。平凡な結論になるが、やはり知ろうとしないことが一番の恥なのだ。

 

 それにしても、東工大生という技術者の卵たちに対して、「キミが日本の技術者だったらサムスンに移籍しますか?」というレクチャーを最後に、しかも一番ページを多く割いて載せるとは。

 だがその問いかけで(最初の段階で)賛成9割以上って……いくら時代や年齢を加味しても、個人的にこれはいただけないな。まあその問いかけでまず着目すべきなのは、政治問題や国際競争以前に、今までどれほど日本という国が技術者を大事にしてこなかったか、という背景があるのだろうけれど。

 池上さんは、文系理系関係なしに、その枠を超えた範囲で物事を考えられるような学生を育成したいと考え、教鞭をふるった。技術者であろうと政治家であろうと、安易な考えで道を選ぶのも良くないし、かと言って盲目的に愛国心や敵対心を刷り込み、刷り込まれるのも良いとは言えない。この国は洗脳国家だから、自分で考える力が自身を幸せにする、ということがどれほど大事か。知識や教養といったことは後からついてくるもの、まず自分で疑問を持ち考えることがこの社会で戦うための一番の武器、ということなのだろう。