<p>まさに、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Amazon">Amazon</a>で変なもの売ってる(笑)</p>
紹介を少しだけします。
本書はシンガーソングライターである谷山浩子氏の執筆したファンタジー小説です。
主人公は2人の女の子。
大のネットショッピング好きの姉のミカルと、妹のハルル。
2人が、ネットショッピング(と言うか、そのまんまAmazon)で、「んぐぁをりhkの」を買うところから物語が始まるーー(???)
さて
私がシンガーソングライターとしての谷山浩子の曲を本格的に聴き始めたのは(幼少の頃、「まっくら森のうた」で名前だけは知っていた)、今からほんの4年前。
某動画サイトで「谷山浩子の〇〇な曲シリーズ」というタグのついた動画から、その絢爛豪華な谷山浩子ワールドにハマってしまった。スタンダードなラブソングから、歌詞が完全に意味不明なカオスな曲まで、なんて多才かつ多彩な方だと感心してしまった。
本当に、ご本人の曲を聴いたり、口ずさんだりしながら読みたくなる。もちろんそうでなくても楽しいけど。
個人的には
・「少女は……」三部作
・そっくりハウス
・かくれんぼするエコー
・まもるくん
・手品師の心臓
辺りをイメージしながら読むと楽しい。
本書は、2人が変なものを買ったのをきっかけに、いろんな意味不明なものに出会ったり(例:不思議な世界の案内人、見えない族、途中でイケメンじゃなくなるイケメン人形、など)、微笑ましいくらいに理不尽な目に合わせられる。それでいて笑える部分から怖い展開も抑えている。カオスな部類に属する割には、しっかり谷山ワールドをこの一冊でアプローチしている表現力は、お見事であり、小憎らしくもある。
また、ワンクリックでお急ぎ便とか、普遍的な要素があるのに、プレミア〜ンヌ会員とか、社長が出てきたりとか、物理的にでない形でサブキャラが登場したりとか、高次元の話とか
こう言った、「聴く人や見る人に考えさせようとしているのに、わざと意味不明な世界に案内する」のが、やはりこの人は上手いのだな〜〜、と、のほほんと感心してしまう(自分でも書いていてワケがわからなくなってきました)。
客観的に見ればストーリー展開とか設定とか、突っ込みどころは満載なのだが、でも谷山浩子の曲にその手の「考えるだけ無駄な世界観」を、文章という形で読ませようとするこの発想に驚かされる。
そう言えば、本書とは関係ないけど、結局「まもるくん」の正体ってなんなんだろう……なんでそっくり人形展覧会の最後が猫の鳴き声なんだろう……なんで誕生日には7123分1になるんだろう……
純粋に不思議なファンタジー小説として読むのもよし、実験的な小説として捉えるもよし、壮大な曲を一冊の本として纏めたととるのもよし、純粋に谷山浩子の世界にハマりたいと考えて読むのもよし。そのまま谷山浩子の世界を、耳でなく目と文章把握のカテゴリで味わうには最適。
どんな解釈でも楽しく読める。もちろん谷山浩子以外の世界観をイメージしても楽しい。
ちなみに、私は、なんとなく、「時の旅人」という児童小説を思い浮かべながら読みました。
- 作者: アリソンアトリー,Alison Uttley,松野正子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/11/17
- メディア: 単行本
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そう、なんとなく児童小説っぽくもある。
読み方は自由です。
ファンの人はもちろん、谷山浩子を知らない人も今すぐワンクリックで注文してみて下さい。私もザザホンを買ったり、分身になったり、沐浴したり、「チッ」と舌打ちしたりしました。