人間「生きがいが全て」、と言っても過言ではない【幸せの条件】

            <p><a class="keyword" href="http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/odai">今週のお題</a>「今の仕事を選んだ理由」</p>

 

 

幸せの条件 (中公文庫)

幸せの条件 (中公文庫)

 

 

 僕が今の仕事を選んだ理由?

 何かを作るのが好きだからですよ……以上。

 

 これじゃダメか。

 

 というわけで、お題を消化するのに思いついた今回の本は【幸せの条件】。表紙を見てわかる通り、主人公は農作業に携わる。OLから。今の仕事内容も恋も中途半端のまま。

 しかし中途半端で何が悪い。今の時代、本当にこの本のタイトルの通り、幸せなんて自分の力で見つけるものだ。でも、大衆の幸せの定義を何か型にはめないと都合が悪いマスメディア各社によって、我々はいつでも幸せという誰もが求める権利のある観念すら塗り替えられる覚悟で、今という毎日を生きないといけない。

 そもそも本来は、“農作業”が楽しいと思うのは全然不思議ではないのだ。過去、人間はそうやって生きてきた訳だし、ましてや日本では、神様でありながら自ら仕事をしてきた天照大神を崇拝するという刷り込みを植え付けられているのだから。ただそれが実際の仕事及び生活の糧にしていくとなると今の第一次産業はとても厳しい状況にあるという話をよく聞く。第二次及び第三次産業が盛んというのは、それだけ国が豊かであるという裏返しでもあるのかもしれないが、それにしても農業や林業や漁業や鉱業は薄給激務というイメージばかり先行しているように思われる。実際のところは、自分で就いたことないからわからないけれど。

 

 本作は、タイトルの証明は一応押さえてはいるものの、どちらかというと農業や最先端技術というテーマやそこに携わる人々の背景にウェイトが置かれていて、「現代人の幸せとは」といったような哲学的な要素は薄い。それだけ読みやすく、共感できる部分が多くて楽しめたが、全体的にやや中途半端な面も見受けられるため、現代人の幸せのヒントを知りたい、もしくは就農について少しでも知りたい、と思って読む人にとっては、少し肩透かしを喰らうかも。あくまで「主人公のような生き方もアリだし気持ちもわかるな」という程度で受け入れる分には、なかなか爽快なシーンや、ホロっときたりする部分があったりで見どころが多い。主人公は中途半端ではあってもダメ人間ではないし、陸のダニでもない(誰もそこまで言ってない……)。特に僕のような、工場で自分が作っている物が一体どれだけ人様の役に立っているのかよくわからない人間にとっては、本書は「ああ、仕事って本来こういうものだよな」と考え直させる説得力がある。

(明日、上司に聞いてみよう。自分の作っているハーネスやアプリケーションは一体どこにいけば売られているのか、と。まさか八百屋ではあるまい)

 

 鉄でも食物でもバイオテクノロジーでも、生産するには誰かの役に立ちたい、というのも、立派な一つの生きがいだと、僕は思っている。そう、いつの時代でも生きていく上で必要な信念は「生きがい」これに尽きる。

 自分の手で人を喜ばせ、支え合うことが出来れば、「自分は生きてるんだー」と実感できるのだから。金八先生の言葉はあながち軽視できないと思うな実際。