<p> おはようございます、大熊詩音です。</p>
昨日に引き続き、今度はインフラエンジニア になるための方法論ーー
だけではなく
インフラエンジニアになるための注意点や心構えなどを書いていこうと思います。
しかも今回はプログラマー編のときよりもちょっとだけ大きく出て、【学歴・資格・年齢不問】としました。
流石に、定年間近やそれに近い年齢の方などは厳しいかも知れませんが、要はやる気と勉強熱心な気概さえあれば十分に潜り込める可能性のある業界の職種だと言いたいのです。
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1.そもそもインフラエンジニアとは?
一口でITインフラエンジニアと言うと、「サーバーやネットワーク等の構築・運用・保守」といった作業が主な業務です。
こうして私達がインターネットを満足に使えるのも、時に不具合や障害が起きたとして膨大な時間を要すことなく復旧されるのも、インフラエンジニアの方々のおかげです。
「サーバー」や「ネットワーク」に関しては、より詳しく書かれてあるサイトがいくらでもあるので、専門用語を使った説明は端折りますが、これまたそれぞれを一言で言えば
・複数台のコンピュータをケーブルや電波などで相互に接続して、相互に情報をやりとりする仕組みをコンピュータネットワークといいまして
・Webサイトなど必要な情報を表示するために格納しておく場所のことをサーバーといいます。(ちなみにIT業界では、語尾のハイフンが数値などと混じりあったりしてわかりにくくなることがあるから「サーバ」そう呼んでいる、というよくわからない慣習がありますが、ここでは便宜上「サーバー」と書かせていただきます)
そのネットワークやサーバーに異常が起きていないか監視したり、現地に赴いて作業を行ったり、疎通確認をしたり、または構築や設計を行ったり、そもそも土台が物理的なものなのか仮想環境なのか――などなど、その業務範囲や種類は数え切れないほど非常に多岐に渡ります。
いわゆる「縁の下の力持ち」的なポジションであると称されることも多いですが、日本中のみならず、世界中に強力に分散されているインフラ基盤の全般を担当する業務であり、やり甲斐や将来性は非常に高い職業であると言えるでしょう。
2.インフラエンジニアになる方法
職歴や経験値などによっても大きく変わってきますが、もしあなたが20代~30代で、前職までITやインフラはおろかPCすら業務上触ったことのない方だとします。
その場合、まず未経験可の運用保守や監視業務など、いわゆる下流工程と呼ばれるレイヤーに入ることがまず第一歩となるでしょう。
そこで、まずPCやITの基礎知識を得つつ、エラーの切り分け、障害対応やエスカレーション、インシデントの管理、現場作業を行っている先輩のやっていることを覚える、などの業務を任されながら経験を積むことで、設計や構築といった責任のある上位のレイヤーへの道がひらけてきます。
ただ、全くの未経験&勉強もしていない、という状況では、内定を得ることも続けることも難しくなってしまうことは否めません。
3.インフラエンジニアの勉強法
ならどうやって勉強すれば良いのか、具体的な方法を書きます。
・サーバーの勉強について
一昔前なら、仮想環境をインストールしてそこからいろんなソフトウェアを落としてLinuxのコマンドを一通り--などとやってきたことでしょう。
今でもその方法が有効でないとは言いませんが、正直ちょっとアナクロな勉強法です。
確かに、VirtualBoxなどで仮想環境を作るといった方法から始めるのは、お金もかからないですし、安心して始められますし、ネットワークや各種ソフトウェアにこだわらなければ、今でも王道ではあります。
しかし、もしあなたがいち早くサーバー及びコマンドライン、特にUnixやLinuxといったOSを使ったインターフェイスに慣れたいというのであれば、最初からバーチャルプライベートサーバー(VPS)、もしくは将来性や需要と言う意味も併せてクラウドサーバーを提供しているサービスに契約してしまうのが手っ取り早いです。
有名どころではさくらのVPS、クラウドサーバーではAWS(アマゾンウェブサービス)などです。
これらに関する情報は、ググれば非常に数多くの検索結果が出ますし、勉強して途中で詰まっても自己解決しやすくなっています。
確かに初期コストはかかりますし、AWSに至っては料金形態が従量課金制なので余計に分かりづらい&高めです。
しかしそれら全部引っくるめて、仕様から技術面までを必死で勉強すれば、たとえあなたが実務未経験であろうと、高く評価してくれるところは必ずあります。
また、VPSやクラウドは、すぐにコマンドラインの学習を出来るというだけでなく、当然ネットワークにも繋がった状態で始められるので、Linuxやサーバー構築などに特化した勉強がすぐに可能になるのもまた利点であると言えます。
・ネットワークの勉強について
独学でネットワークの概要を隅から隅まで勉強するのは、Linuxの学習に比べて少々複雑且つ骨が折れます。CCENTの教科書や【Ping-t】などで予習する、という方法もありますが、何せ取り扱っている範囲が膨大なので、あまり深入りしすぎると逆に時間効率が悪くなってしまう可能性があります(もちろんネットワークのさわりや基礎をある程度勉強してから面接に臨む、というのはアリです)。
そこで、一冊ネットワークに関する書籍を購入し
超未経験
↓
初心者レベル
までもっていき、あとはそれで得た知識を武器に、少しでも早く内定を得て実務経験を得ていく、という方法がベターです。
おススメは以下の本です。
初心者にとって知識をやさしく覚えられるだけでなく、ネットワーク全般の基礎的な用語のリファレンスとしても使えます。
この他に、Ciscoのルーターの実物を買ったりして実際に動かしてみる、などの方法がありますが、何も知らない状況でそれをやろうとしてもハードルは高く、そもそもルーター自体も安くないです。興味があれば調べて購入していじってみる、といった感じで良いと思います。
4.資格は取るべきか
検索して調べてみると、先人の知恵の中には、「資格は重要である」「ほとんど必要ない」の2通りに分かれているようであります。
私は後者の意見です。
たとえ初心者であり、転職活動の際に書類選考や面接でアピールしたいと思っても、CCNAやLPICレベル1といった資格はあまり意味を持ちません。ましてや、その資格取得のために多くの時間を割き、【実務経験を得る】ということを先延ばしにしてしまっては、本末転倒です。
したがって「取っても無駄」とまでは言いませんが、費用対効果がかなり悪いです。
それより、サーバー関連の仕事をやりたいなら自分でVPSやクラウドでサーバーを構築する勉強をしたり、ネットワークならノードとリンクの構成要素やプロトコルの詳細等、といった知識でも、未経験可の案件であれば戦えます。
何故なら、ほとんどの業務スキルや経験値は、Web上の試験ではなく、実務経験でこそ培われるものだからです。
実際に
「インフラサービスが障害やエラーを起こした」
「物理サーバーがイかれた」
「ネットワークが切れてウチ(自分の所属する会社)の提供しているチャンネルが見れないというクレームが殺到している」
まずはこういった経験をして、解決方法や技術を一つ一つ学んでいかなければ、インフラエンジニアとしての実力アップは見込めません。
あなたがまだ20代であろうと、40間近であろうと、IT業界の進歩は非常に早いです。それより、少しでも若いうちに現場に出て、インフラの知識や技術を身につけることが、まず最初に優先すべきファクターだと考えます。
5.雇用形態はどうすべきか
ここでいう雇用形態とは、正社員か非正規社員か、と言ったことだけでなく、客先常駐か、自社開発またはサービス事業を行なっているか、なども含みます。
私はかねがねSESは悪と言っていますが、何を隠そう私は最初、SESの客先常駐でインフラエンジニアとしての経験を積みました。
なので、雇用形態は自分の合った方法で、良さそうな企業があれば、しっかり企業研究した上で応募し続ける、というシンプルな方法で良いと思います。
まあそれでもSESはおすすめしませんが(笑)。
自社サービスを行なっている会社か、それとも客先常駐の方がよければ派遣か、といったところでしょうか。
こればかりは、個人の求める待遇、仕事内容、今後のキャリアプランなども関係してきますので、簡単にアドバイスはしにくいですが、安定性や自分の興味のあるサービスを行なっている会社が見つかれば自社、いろんな現場を体験できる柔軟性を求めたり時給の高さに魅力を感じるのであれば派遣、といった指標でも何ら問題はないと思います。
6.インフラエンジニアとして重要なこと
ここまで書いてきた内容を読んで、「インフラエンジニアに資格も年齢も関係なく、しかもその程度の準備で最初の第一歩が踏み出せるのか、信じられない」も思う方もいるやもしれません。
確かに、インフラエンジニアという職業は専門性が高く、プログラマーとしての開発業務に劣らず、勉強しなければならないことが非常に多く、また一人前のエンジニアになるにも多くの経験と時間が必要です。
しかし、ソフトウェア開発か、インフラか。この2つの【未経験者にとっての間口の広さ】という側面で言えば、インフラエンジニアに軍配が上がります。
もしインフラエンジニアになると決めたら、まず最初は、ロースキルでも出来るくらいの案件に出来るだけ早く参画し、その上で業務時間外でもしっかり勉強し、必要な知識を勉強していく気概が求められます。
ただし
その上で、この業界において必要なことが2つあります。
それは「体力」と「精神力」です。
私は筋トレを行うことで心身を鍛えていますが、もし体力もなく精神的にも打たれ弱い、となると、業務を遂行するのが少々厳しくなってしまいます(どんな仕事でもそうかもしれませんが……)。
とりわけインフラエンジニアの業務は、24時間365日、ネットワークやサーバーといった基盤の安定した供給が求められます。それ故に労働者側も、夜勤や残業を含めたシフト制勤務を求められたり、突然のイレギュラー対応に出向かなければならなくなるなど、不規則な生活リズムになりがちです。あまり大きな声では言えませんが、労働基準法を度外視した長時間労働になってしまうことや、ある程度仕事に慣れてきたというだけで自宅での携帯待機などを命じられることもあります。
技術や知識、経験の他にフィジカル面やメンタル面、更に必要であれば外国語能力や交渉力、企画力なども求められます。上を見るとキリがなく、ベテランになるまでの道は果てしないと言えます。
先程、縁の下の力持ち、と書きましたが、本当に強い「力」を持って挑む覚悟が必要です。
もしかしたら「監視や運用は楽そうだから」「手に職つけられるし安定してるから」という理由で、この業界に入る方もいらっしゃるかもしれません。最初はそういった動機も悪くないと思いますが、それだけでずっとモチベーションを保てるほど甘々な世界ではないことも事前に知っておくと良いでしょう。
繰り返しになりますが、一歩一歩進んでいき、その経験が実力アップに繋がるのです。
7.まとめ
インフラエンジニアになるための方法や学習、心構え等をまとめると、以下のようになります。
・ネットワーク、またはサーバーエンジニアになると決めたらとにかく早めに知識を身につけるなり学習のアピールをするなりして内定をもらい、現場に出て経験を積むこと! 最初は誰もが未経験!
・勉強は業務時間外でも自分のPCなどで行い、現場の戦力として必要な力を身につけよう! 資格は重視するべきでない。
・雇用形態は正社員でも派遣でも構わない。自分に合った方法や求人を隈なく探し、転職活動を行おう!
・運用保守や監視といった未経験でも出来る仕事でも体力や精神力などが必要! 上流工程に進みたいなら一つ一つハードルを乗り越えていこう!
以上になります。
インフラエンジニアは私達の実生活に大きく関わるインターネットやコンピューターや電話等様々なライフラインを供給、構築する素晴らしい仕事です。
もしこの記事を読んで、少しでも
「インフラエンジニアという仕事に興味を持った」
「指針が固まってきた」
と思って下されば、それは望外の喜びです。